お供は猫である

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「カルマ、次のミッションこれ行こうぜ」  ソーマは持ってきたミッション内容をカルマに見せる。そこに書かれていた内容を見てカルマは飲んでいたジュースをブーッと吹き出した。 「が、ガラオクス討伐!? やだやだ、絶対やだ! 無理、むーりー!」 「また始まったよカルマの嫌々病。俺とお前の力を合わせれば大丈夫だって」 「僕らのランクで何で大丈夫だと思うんだよ!」  今日も弱小ギルド「木漏れ日亭」は騒がしい。  世の中に溢れるモンスターの討伐を行うギルドは星の数ほどある。強い者が集まればそれだけ皆が憧れ人が集まり金銭面でも潤うが、人が集まらなければお金も知名度もない弱小のギルドだ。  ここのギルドもカルマの父親が作ったのだがメンバーが全く集まらずカルマ一人だけという、ギルドとして全く成立していない状態だった。しかしひょんな事から知り合ったソーマが入ったおかげで凄まじいスピードでギルドランクが上がっていっている。理由は単純でソーマが人一倍優秀だからだ。  武器は一度触れば使い方を覚え今ではほぼすべての武器を使いこなすことができ頭も良い。一人でいれば数人分の働きをする。肉弾戦派のソーマ、魔法タイプのカルマのコンビは相性が良く最近この二人の知名度も上がってきている。  この程度のギルドランクでは受けないような難しいミッションをソーマは好み、嫌がるカルマを無理矢理連れて一緒に出かけるのだ。毎度毎度大変な目にあいながらも何とかミッションをこなし少しだけ地元住民から応援され始めた。 「毎度毎度なんでこんなミッションばっかり受けるんだよ」 「金も人もない状態でよくそんなこと言えるよな。ギルドランク上がらないと国から補助金だって出ないって言うのに」 「いやそうなんだけどさ」  ギルドリーダーだというのにカルマは慎重すぎる性格が災いしてミッションを選ぶときに考え込みすぎる悪い癖がある。これは危ないからやめようとかこっちはこんなことがあるかもしれないからダメだとか。ソーマから言わせればそんな事言ってる場合か、という感じだ。  今回持ってきたミッションも確かにたった二人でガラオクス討伐は無謀だ。しかし自分の実力とカルマのサポートがあれば絶対倒せると言う確信があった。ギルドランクなど所詮国が定めた線引きに過ぎない。ギルドランクと本人の実力は別だ。  カルマは自分を過小評価しすぎなのだ、彼の魔法はちゃんと実力がある。なんとか行くのやめさせようと、いつも通り説得にかかるカルマの腕を掴むと無理矢理引きずって歩き始める。 「こういうのは思い立ったら吉日だ、行くぞ」 「やだー!!」
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