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プロローグ
もし、神に愛される子が世に存在するのなら、カラは間違いなく悪魔に魅入られた子だろう。
口がきけないことも、時に鈍く光る濁り沼のような双眸も、そして幼い手に不似合いな血の剣までもが不気味に輪をかけていたことは間違いない。
だが何より人々に嫌悪を抱かせたのは、彼の悪食によるところが大きい。
害虫を食す者を、救われた人々は感謝を込めて抱きしめるだろうか。
答えは否。
むしろ嫌悪の対象とし忌み嫌うだろう。
カラの場合、これの最たるものなのだ。
我が愛しの親友よ。
悪魔の子を愛した不可思議な騎士よ。
今はどこで肩を並べ月を眺めているのか。
無力な私の風では君たちを包み込むことはできないが、今宵も鮮麗な月に、どうか無事でと願ってやまない。
ーゼナ・メイストの日記よりー
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