出会う

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「ゆっくりどうぞ…名前…なんて呼べばいい?」 ‘ゆっくりどうぞ…光里’と言いかけて呼び方は確認することにした。アメリカはこういう点を気にすることなく楽だったが、日本では気をつけている。 「光里?光里さん?光里ちゃん?ひか?…はおかしいか…皆、何て呼ぶの?」 「…光里」 「じゃあ、光里。飲んで。おかわりしてもいいよ」 「…いただきます…っと…」 「聖。皆、聖って呼ぶ」 「…聖さん、いただきます」 「まあいいか…新鮮な呼び方」 光里がカップに少し口を付けて熱そうに顎を引いたのを見て、熱さを感じて良かったと思うほど今の彼女には表情がない。 「まだ熱かった?猫舌?」 「いえ…そうでもないですが…」 「あっ…コーヒーも熱い…ここの熱いわ」 そしてホットサンドのモーニングセットが運ばれて来ると 「あー光里、これ食べられる?俺、上に乗ってるのが苦手かも…」 と小さなガラスカップを指さしてみた。
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