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「ヨーグルト?…ですか?」
「ですか、なくていいよ。ヨーグルトだね。上のジャムソースがちょっとね…食べられる?」
少し考えてから頷いた光里にガラスカップのヨーグルトとスプーンを渡して
「いただきます」
と大きく口を開けサンドイッチにかぶり付いた。
「ん、うまっ」
理由はわからないが食欲がないなら、食欲が湧くようにすればいい。お腹が減っていないと思っていても一口食べて空腹だったと気づく時があるはずだ。食事が食欲を呼び起こすんだ。たくさん食べなくてもいい。一口で大丈夫だ。
彼女を観察しないように自分の食事を楽しむ。人が美味しそうに食べるのを見ることも食欲が湧くだろう。
「もう一皿いけそうにうまい」
そう言いながら、俺が最後の一切れを手にしたとき光里がスプーンを持った。そして小さなスプーンに半分ほどのヨーグルトをゆっくりと口へ運んだ。ほんの少し口を動かした彼女は、もう一度同じくらい食べる。
「ジャムソース、何味?」
聞いてみると…たぶん口へ運ぶ量が少なすぎてわからないのだろう。光里が確かめるようにソースの部分を食べた。
「マンゴー?」
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