初めての殺人現場

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初めての殺人現場

 俺は今、殺人現場を目の前で見ている。 腹部から血がどくどくと流れ続けていて、痛々しい。 倒れている女性はぱくぱくと口を動かして、音にならない言葉を発し続けている。 「かわいそう…待っててね、ちょっと、携帯を取ってくるから」 男は涙を流しながら慌てて携帯を探し始めた。 「あった…」 男は少し画面を操作したあと、携帯を女性に向けた。 「すぐに助かるよ、安心して」 男は、ポケットからナイフを取り出し、女性の喉元に突き立てた。 「大丈夫だよ…すぐに痛くなくするからね」 男は死体を目の前にして、安堵の胸をなで下ろした。 「よかったぁ、死ぬ前に写真撮れて。これからは殺人も仕事に入れれる」 これまでは空き巣とか軽いのだけだったからなぁ、と男はぼやく。 「それにしても、殺人をやったことない僕に依頼してくれるなんて、まさに僥倖としか言いようがないなぁ。さてと、お客さんに電話しよ」 男は殺人現場で、携帯を耳に楽しそうに笑った。
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