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 拙者はペンギンである。  ペンギンは空を飛べない。  そんな事は分かりきっている。  しかし、ペンギンだって空を飛びたいのだ。  だから、機械のツバサを作っている最中だ。  けれど、鋼鉄のツバサはとても重い。  飛ぶなんてとてもできるものではなかった。  計量化が今後の課題だな。うむ。  魔法があるだって?  拙者は魔法が使えないのだ。  だから侍として刀を振るっているのだ。ばかたれ。  人に飛ばしてもらえ?。  自分で努力してこそだろう。  楽をして飛んで、そこにどんな意味がある。  ペンギンが努力して空を飛ぶことに、ロマンがあるのだ。  人の魔法で空を飛ぶこともできるが、断じてそれはロマンではない。  しかし、ううむ。  道は険しいな。  拙者は何日も何日も思い悩んだ。  そんなある時、拙者の元に刺客がやって来た。  物騒だと?  日常だわ、たわけ。  刀を振るう日々を過ごしているゆえ、恨みをかう事はめずらしくないのだ。  しかし、その日は苦戦したな。  拙者、わき目もふらずがむしゃらに刀を振っておった。  そしたらなんと、剣風で拙者の体が空にうきあがっておった。  うむ?  これはあれだろうか。  機械より、これを極めた方がすぐ飛べるのでは?  拙者、頑張る分野まちがえたかもしれない?
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