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「……美晴、今朝も言ったけど……必ず、幸せになってよ」
「あぁ、ハルさんも。つか、ハルさんはあっちの世界とこっちの世界を繋ぐ方法を探してくれるんだろ?」
「そうだね。やれるかなんてわからなくても、やれることはしたいから。だから、それまでは生きて」
真剣な表情のハルに美晴は一瞬驚いた顔をしてから、笑顔を作った。
「あぁ、ハルさんが見つけられることを祈ってる」
「……――っ」
泣き出しそうな表情をしたハルを美晴は腕の中に抱きしめて、その首元に顔をうずめる。
そんな二人をそれぞれ顔を見合わせて小さく笑った。
「うわぁぁぁぁん!!! ナギサーー! スザクーー!! 本当に帰っちゃうのかよーーー!!!」
「うわっ?! なにすんだよ……」
ひしっと俺の顔にしがみついてきたリルに眉根を寄せてから、小さな体を引き剥がした。
つか、こいつは俺の顔面に張り付くのが好きなのか……?
「リル、いままで色々と教えてくれてありがとうな。リルがいてくれてすごく助かったよ」
「ナギサ……おまえ本当に出来た人間だなー! オイラも二人のガイド出来て嬉しかったぞ!」
「都合のいいときだけそういうこと言って……」
「うるさいぞスザク! こういうときくらいいいだろーー!!」
ギャーギャー喚くリルに頭を押さえつつため息をつく。
本当に最後まで騒がしいな。
「ナギサもスザクもミハルも、向こうに帰っても元気でね」
やかましいリルに相変わらずニコニコ笑顔のレオが話しかけてきた。
冬季もその隣でうんうんと頷いている。
「レオと冬季もな。仲良くしろよ」
「言われなくても!」
拳を突き出してくるレオに俺も拳を作ってコツンと当てる。
冬季もそこに加わり渚も控えめに拳を当てた。
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