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「レオに最初に出会わなかったら、きっと俺も荒玖も途方に暮れてた。ありがとう」
「ううん。二人みたいな異世界人を見つけ出すのが俺の仕事だったからね」
「それでも、ありがとう」
「ナギサ……」
微笑む渚に笑顔だったレオが眉を八の字に歪める。
そしてぎゅっと渚に抱きつくと肩を震わせてボロボロと涙を零した。
「絶対、また会おうね……。きっとだよ、約束だからね。俺も、ハルに協力して会える方法を探すから」
「うん。……うん。必ず」
レオの背中に手を回して抱きしめ返す渚。
俺と冬季はそんな二人を黙って見守った。
二人は異常なほど仲が良かったわけではないが、似たもの同士なところはあって、きっと渚にとってこっちの世界の人で一番気を許せる友達だったのだろうと思う。
だからこそ、最後くらいは俺たちがこの二人の間に介入するべきではない。
そんなふうに考える俺と同じ気持ちなのか、冬季も何も言わなかった。
その代わりに小さく息を吐き出してこちらに顔を向けて話しかけてくる。
「実際、本当に探せるかはわからないがな。まぁ、アルトさんもいることだし、そんなに希望がないってほどじゃないと信じてるんだ、俺は」
「そうだな」
その言葉に頷きつつ――確かにアルトがいるのだから世界と世界を繋ぐこともきっと出来るはずだと、その未来に希望を託した。
「あの、荒玖さん」
そんな俺と冬季の会話の間に控えめに声がかけられる。
後ろを振り返ると、不安そうな顔をしたアルシアがいた。
「アルシアさんも、お世話になりました」
「いえ、私の方こそ、二人にはたくさんお世話になりました。向こうに帰ってもどうかお体にお気をつけて」
いつも通りのアルシアの笑顔に励まされ、俺はしっかり頷く。
そんな俺たちの間にいた冬季がふむ、と腕を組んだ。
「二人を見ているとなんだか親子みたいだな。荒玖が若いから余計にそう見えるのかね」
「いやいや……アルシアさんが母親って、若すぎないか?」
一応年齢的には俺、十七歳だぞ?
アルシアはたぶん二十代後半だろうし、どう頑張っても無理だろ。
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