初めての。

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初めての。

「この度はお悔やみ申し上げます」 喪服を着た人達が列を成して俺の目の前を通っていく。 知っている顔、知らない顔。 みんな着ている服と同じ様に暗い顔をして掠れた声で下を向きながら通り過ぎていく。 (人が死ぬって大変な事なんだ よな…この空気感も、重苦しい雰囲気もまるで世界の終わりみたいじゃないか…) 3日前、ばあちゃんが死んだ。 享年78歳。往生といえば往生だ。 心臓が弱っていたらしく、心筋梗塞で倒れてそのまま逝ってしまった。 俺はばあちゃんの最期には間に合わずに対面出来た時には既に血の気のない真っ青な顔をしていた。 人って死んだらまるで血色の悪いマネキンみたいになってしまうんだ…。 初めての死と、初めての葬式。 13歳になった俺の目の前に、あまりに突然にやってきたその日。まるで実感の湧かない出来事は、他人事の様に進んでいった。 涙は…流れなかった。 悲しみも…感じられなかった。 なぜなら俺は… ばあちゃんが好きではなかったからだ。 あんな、意地悪なばあちゃんなんてさ…。
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