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そっくりな少女
時刻は午後六時を回ったところだ。
今日は学校で用事があったせいで、いつもよりかなり帰宅時間が遅い。
そして、昼過ぎから降り出した雨のせいもあって、高校一年生の宮田まゆは、ママに駅まで車で迎えに来てもらった。
「ごめんねママ」
「うん。いいよ、いいよ。でも、明日はちょっと早起きだからね」
「うん。それは仕方ないよ」
自転車は駐輪場に置きっぱなしになるので、明日の朝も送ってもらえることになっている。
ママの仕事の都合で、そうなると少し早く自宅を出なければならないのだ。
「じゃあ、行くわよ」
「うん」
まゆを助手席に乗せて、母の恵美の運転する車が、自宅を目指して走り出した。
自宅までは車で十五分ほどの距離で、駅前の賑やかさとは縁遠い、少し山に入った静かなところだ。
いつもは明るいうちに帰るから良いのだけど、帰りが遅くなると外灯も疎らでちょっと怖いから、まゆはママが車で迎えに来てくれたのが嬉しかった。
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