プロローグ

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「榊原さん、今ちょっといい?」 「…ダメ。聖に言って」 「榊原さんに見せようと思ったんだけど。聖さんじゃ意味ないんです」 「仕事じゃないのか?」 訪問者はこのビルのオーナー長谷川壱。この通称‘ハセイチビル’6階にあるコンサルティング会社でのひとコマ。 榊原玲央と三鷹聖は日本コンサルティング界の俊秀と言われる二人だ。その二人のもとを訪れた大学の後輩、長谷川は意味ないと言うと同時に7階の自分のオフィスに戻ろうとする。 「待てよ、壱。5分」 「3分でお願いします」 そう言いながら空いたスペースに座った長谷川は持って来たパソコンを開いて榊原を待つ。 「壱、珈琲飲むか?」 「いえ、紫乃と飲んだばかりです」 「俺も紫乃さんと飲んで来ようかな…」 「聖さん、暇?」 「いや、その反対で頭沸いてる…休憩だな」 紫乃とは長谷川と一緒に働くパートナーであり婚約者だ。 「お待たせ。何?」 「榊原さん、これ見て…知ってるかどうかわからないけど、一応…俺の手元に来たから報告」
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