頃来

13/33

4288人が本棚に入れています
本棚に追加
/87ページ
お花屋さんとの打ち合わせは思っていた時間の倍かかってしまった。互いに初めてのことなのと、オーナーが何かにつけて即決しない人だったから、ひとつのことを決めるのに必ず一夜越さなければならなかった。電話でそのことを玲央に少し愚痴ると ‘乃愛、口を出して悪いがひとついいか?’ 「いいよ」 玲央が珍しく口を出すという。少し疲れていた私は彼の話を畳に寝転がって聞いた。 ‘今10時に店を開けて昼間閉めて出掛けてるんだろ?’ 「そう」 ‘それすぐにやめろ。花屋に通う通わない関係なくやめろ’ 「じゃあ、銀行とか行くのもどうするの?」 ‘平日11時オープンで朝のうちに花屋や銀行の用事は済ませる。開店を1時間遅らせるだけで昼間中途半端に2時間ほど閉めていたのは解消されるだろ?不定期に気分で営業しているような印象を与える張り紙をしておくのは良くない’ なるほど…9時に開く銀行や花屋さん、その他の用事を朝にする。何となく、営業日はとりあえずお店を開けないと…って思っていたけどその方が断然効率的だ。 「そんな簡単なこと思いつかないなんて…」 ‘一人でやっていると良くあることだ。だからどれだけ優秀な聖と俺でもバディを組んで案件に向き合う’ 「どれだけ優秀でも…ね。そうだね、ありがとう。ホームページの営業時間変更する。切るね」 ‘乃愛の行動力を誉める。じゃあな’ 一人でやっていると良くあることか…人の意見も聞かなきゃね…あと数日でクリスマスという夜、営業時間の変更をした。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4288人が本棚に入れています
本棚に追加