頃来

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乃愛が聖と光里ちゃんの出会いを聞くと僅かに光里ちゃんが固まった。俺たちが知らない方がいいならそれでいいと、俺も知らないと伝えたが彼女が‘墓地’だと教えてくれた。 墓地…聖の墓参りの相手はわかる。光里ちゃんのことはわからないが、さっきの様子じゃ聖の墓参りとは訳が違うのだろう。現に聖がこれまで俺に詳しく話さなかったし、今日の昼間の壱のオフィスでも彼女がいると明言せず‘育んでいる’だとか‘温めてる’と言っていた。 訳があって彼女を大切に包み込んで…一気に攻めきれていないか? 「そっちの方が運命というか…導かれた二人じゃないか?墓ってことは互いにお参りする人がいたということだろ?その人たちが聖と光里ちゃんを出会わせたんだ」 俺なりに光里ちゃんの背中を押して、聖の援軍となってやろうじゃないか。 すぐに乃愛が昨日の披露宴の写真が見たいと言った。写真だけ見せるつもりだったが聖の援軍として動画も見せることにする。聖が 「…It's the heart afraid of breaking that never learns to dance.It's the dream afraid of waking that never takes the chance.という部分が俺は大好き」 俺たちが歌ったあとに言ったこれが光里ちゃんへの気持ちだと思うから。
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