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22 元副会長、途方に暮れる
「じゃあ、僕を狙ってるかもしれない、その…鴨田?達は、3年なんだよな?」
「ああ。」
「クラスは?」
僕が聞くと、御池君の眉間がきゅ、と寄った。
「…何か妙な事考えてない?佐藤。」
「妙な事?」
「…話せばわかるとかいいながら乗り込んでったりしない?」
「…僕ってそんなにアグレッシブに見えるのか。」
「……3ーD。」
「外見的特徴とか、ある?」
「えーと…」
御池君が思い出すようにしながら、ふと何かに気づいたように僕を見た。
そう。お察しの通りだ。
僕が質問しているのはソレを出来る限り回避する為であって、アグレッシブに乗り込んでお話し合いを!なんて事をする為ではない。
それこそ叔母の言っていた王道転校生とか言うやつなんだろうが、普通の人間は危うきには近寄らぬものなのだ。
「リーダーの鴨田はまあ…一言で言うと、だらしない感じの色男、かな。こう…ウェーブのある黒髪で、金メッシュがこの辺に入ってて、タレ目。」
「なるほど。」
「そんでやたらと色っぽい。」
「…色っぽい。」
「だから鴨田自身にもファンクラブ的なものがある。
本人が嫌がるから非公認の…こう、コアなストーカー的なやつが。」
「…鴨田可哀想だな。」
「鴨田の盗撮画像も高値で裏取引きされてる。」
「鴨田の方が実質被害ひどくない?」
屑みたいな奴らだとばかり。
「まあ、…鴨田が今みたいにやさぐれたのにも理由はあるんだ。
やっぱり目立つ容姿だったからか、小学生の頃から妙な奴に好かれたみたいで、中学でも性的被害に遭ってたらしくて、」
「いや…のっぴきならないじゃん、鴨田。」
「ここにも逃げ込むように入学してきたんだけど、やっぱりと言うか、当時の不良グループに目をつけられて、トップのオンナにされて、脅されてたから被害も申告出来なかったみたいで。」
「………。」
え、重い。
何気無く聞いた未だ見知らぬ鴨田の過去、重い。
知らない方が良かったんだけど。
「で、まあ、ある日あんまりにも無体な事をされたらしくて、とうとう反撃した鴨田がトップを殴り倒してさ。
それから問題が明るみに出て、鴨田は正当防衛って情状酌量になってお咎め無しになったんだけど、相手は鴨田以外の生徒達への不品行も次々わかってさ。その生徒達からの被害届も上がって来て、退学処分。」
「まあ、ソイツは妥当だな。いや、退学では甘いか…。」
「実際は退学だけじゃなかったからかなり痛い目見てるけど…まあそれは、ね。」
「ああ。」
聞くなと言う事か。
「で、何故かその後、そのトップに他のメンバーを籠絡してた鴨田が着いてな。
何故かそのトップがやってた事をまんま模倣するようになった。
あの痔も、囲われてた間の悲しい負の遺産なんじゃねえかな…。」
「あ~、そう帰結するんだ、痔。」
「天敵の委員長には見られたくなかったんだと思う。」
「…なるほどなあ。」
鴨田の悲しい過去はわかったが、自分の遭った被害をそのままルプスや他の生徒に、ってのはどうなんだ。
しかも、不良と知っててストーカーしてるような連中迄いて、小規模だが被害は継続中…。
「…とまあ、そんな鴨田が佐藤の処女を狙ってる。」
「コメントに窮するよ。」
特徴をと聞いたら情報過多で返ってきた。
本人目の前にした時に、一体どんな顔をしたら良いんだかわからん。
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