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1.槐家の日常
槐家は、日本の資産家として世界の大富豪に名を連ねる名家の一つ。そこには、たった一人の愛娘がいた。名前は澪音、歳は十七。
艶やかな黒髪はハーフアップで、結び目には青い蝶がとまる。その澄ました表情に落ち着いた所作は、まさにお嬢様的品格だ。
しかし残念ながら、その見た目とは裏腹に天然が入っている。ついでに、何かと意味ありげに流し目をするのは母親譲りだ。
そんな彼女は幼い時から、どこへ行くにもプライベートジェットか専属運転手による送迎、食事はお抱えシェフらの絶品料理、衣料品は有名デザイナーのオートクチュール、身の回りは全てハウスメイド任せという暮らしを送ってきた。
こうして世俗とはかけ離れた暮らしぶりを続けてきた現在は、由緒正しきお嬢様たちが通う名門高校に在籍している。
要するに一言で表せば、世間知らずのお嬢様である。
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