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完璧な少年
その後村長は村の者に全てを話した。
そして、自分を覚えていてほしいというでんすけの最期の願いを叶えるため、でんすけと弥吉のことを記録しておこうと提案した。
だが、
「しかしそんなものを残しておいて、そのせいで龍が本当のことを知ったら、今度こそ村が滅びてしまうんじゃないか?」
という意見に、皆、それもそうだとうなずく。
さてどうしたものか。
少し頭を冷やそうと村長が外に出ると子供達が相撲をとっていた。
勝ったの負けたのと騒ぐ子供達を見て、
「そうか。その手があったか!」
村長は村人に向かって、
「本当のことを残しておくことはできない。しかし、弥吉を昔話として、でんすけを子供の競技の記録として残すというのはどうだろう。この村では、でんすけは誰よりも賢く勇敢で優しい完璧な少年。それをずっと語り継いでいくんだ」
なるほどそうしようと皆が納得し、弥吉は『カマ池の民話』となった。
そしてこの村では子供のどんな競技でも、一番をとった子供の上にでんすけの記録を作った。
時代が変わり競技が変わってもそれは変わらず、今でもずっと全ての競技や競争の一番はでんすけであり、真実は村長の家系のみに語り継がれることになった。
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