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俺の気持ちを読んだようにリコは言い放った。
「中野さんのことも神田さんのことも大好きです」
窓からほのかに白い光が差し、リコの頬を照らした。地上が近いのか。
リコは立ち上がると、片手で窓を突き破った。窓から飛び込んできた空気が天狗風のように車内を吹き荒れる。飛ばされそうになった俺は必死に手すりにしがみついた。リコはさらに何度か打ち破り、窓枠だけを残して強化ガラスを全て取り払った。
振り向いた彼女の笑顔は清々しいほど爽やかなものだった。
「リコ――」
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