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 昨日のメール?昨日というのがあまりに昔のことのように感じられ、思い出すのに時間がかかった。  しばらくして俺は、帰る間際に中野に宛てて送ったメールを思い出した。いつものごとくヒューマノイドの件で中野とやり合ったので、今度こそじっくり腹を割って話そうと、初めて中野を飲みに誘っていたのだ。 「そっちの予定は――どうなの」 「望むところだ。けど、ヒューマノイドの話はまた今度だ」  え? と驚いたように顔を上げた中野は綺麗なアーモンド型の瞳を大きく見開いていた。 「まずはリコの話を聞かせてくれ」  こいつには面と向かって言ってやりたいことがたくさんあったが、そんなことより、俺はリコの最後の質問の答えを探すことに決めた。 「それなら時間がいくらあっても足りないな」  鼻を赤くした彼女は意外にもいたずらっぽい表情で笑った。「リコのことならいくらでも知りたいさ」俺も微笑み返し、最後のラベンダーは二人で一緒にリコへ捧げることにした。 fin.
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