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 例えば、今俺が片目に装着しているグラスビューワ。    これも元は弊社で開発したものである。といっても俺が生まれるよりずっと前の話だが。  多機能好きの日本人の本領発揮で、2200年代に入ってから日本国内で初めて商品化されたものだが、これがまさに多機能の極み。  ビジュアル的には何百年も前からよくある、ゲームのキャラクターが片目に装着している透明のレンズのようなもので、その小さなレンズで、その昔パソコンやスマホやマイナンバーカードなどで管理されていた情報や通信機能、心拍数や血圧などの健康情報が一元管理できるようになっているのだ。  長年、情報社会を煩わせていたパスワード管理の問題も勝手に虹彩認証がしてくれることで解決した。  世間に公表してすぐさま各国がその技術を追従し、現在は世界標準の商品ではあるが、未だに日本の企業がそのシェアの90%以上を占めている。  極秘に研究し確立した技術を他国に漏らさなかった故の成功例である。  まだ公にしていない最先端技術は他にも存在する。  それが世界のどの国も未だかつて成功したことのないアンドロイド開発だ。  ロボット、アンドロイド、ヒューマノイド、様々な言い方はあって、俺は面倒だからすべてロボットと呼んでいるが、どの呼び名がふさわしいかはロボットの人格もといロボ格の保護問題と共に一部の人間の間で激しい論争が交わされている。  世間的な呼び方は統一されていないが、一応国としてはアンドロイドで統一したいようだ。人間と見分けがつかないほど似ているロボットという意味合いが強いらしい。
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