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 それでも、俺の瞼は再び開かれることを本能的に嫌がっていた。耳の奥にずん、と響いているこの感じ。発する電磁波のせいなのか、ロボットのRUNテストの際に生じる耳鳴りと同じものだ。  脱走か? 否。それはあり得ない。  なぜなら、あいつらをONにするには、俺だけが知っているパスワードを入力する必要がある。それから、俺の他に何人もいる開発主任のパスワードと課長部長のパスワード、それら全てを入力しなくてはならない。無論、廃棄決定の三体に俺はパスワードを入力した覚えはない。となると、 「おっ……おっ……」  突然車内に響いた声におそるおそる薄目を開けてみると、タローくんがぼんやりとあらぬ方向を見つめ呟きはじめていた――俺と同じ声で。 「お……はよう……ござい……ます。本……日……は…………どちら……に……お連れ……しましょ……うか?」
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