episode2

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sideリゼル 兄様が出てから2時間経った。 兄様の言葉通りこの城に客人はいない。 そして… 「ただいま。」 ようやく帰ってきたかと思えば、兄様はびしょ濡れだ。 「兄様。」 どうだったと聞くべきだろうか。 ここで地雷は踏みたくない。 「シーラね…」 頼むから暴れ出さないでくれ。 俺1人では兄様を押さえきれない。 「あぁ。」 念のため静かに拳を握った。 押さえきる自信はないが、無抵抗よりかはマシだろう。 「生きてたよ。」 「……………そうか。」 俺はそっと拳に入れた力を抜いた。 「それは…本当によかった。」 俺もいろいろな意味で安心だ。 兄様がここで乱心しなかったこと、俺が半殺しにならないこと、もちろんシーラが生きていたことも。 本当に色々な意味だ。 「だからね、約束してきたんだ。僕やリゼル以外には顔を出さないって。」 兄様の約束という言葉に俺は疑問を抱く。 「まさか…兄様、したのか?シーラと。」 あんな無垢で何も知らないシーラ。 「契約はしてないよ?そんな事しなくてもシーラは僕の約束を守ってくれる。 契約はいずれ、ね。」 いずれって… 「それはシーラが可哀想だ。 海で自由に生きているのに兄様に縛り付けるなんて。」 兄様にとっては簡単な事だろうが、シーラにとっての代償は大きい。 「そんなに怒らないでよ、今はまだしない。 それより着替えてきていいかな?」 兄様はご機嫌だ。 いいのか悪いのかわからない。 「あぁ、そうしてくれ。」 シーラには一度忠告しておかないとな。 兄様に見入られるとロクなことがないと。
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