episode2

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sideリゼル 俺は何をしているんだ。 兄様の気に入っている女に勝手に触れるなんて。 これがバレたら殺されるな。 「俺はもう帰る。シーラ、お前も海の底へ戻れ。」 シーラは笑顔で頷いた。 「うん、戻る!…ねぇ、リゼル。」 シーラは俺の様子を伺うように上目遣いをした。 「どうした?」 何か言いそびれたことでもあったか? 「あの…リゼルもたまにはここに来てくれる? 私はリゼルともっと仲良くなりたいよ。」 下心のない好意ほど胸に刺さるものはない。 兄様がシーラを気に入った理由がわかった気がする。 シーラといれば何の駆け引きもしなくていい。 心が休まるんだ。 「あぁ、もちろん。」 俺の答えを聞いてシーラが嬉しそうに笑った。 「ありがとう!楽しみにしてるね!」 様子を伺う顔は笑顔に早変わりした。 「あぁ。ほら、早く行け。」 お前が誰かに見られる前に。 本当に殺されてしまわないうちに。 「はーい!おやすみー!」 シーラは少し離れて俺に手を振ると海の底へ帰って行った。 「さて…」 俺も帰るか。 兄様にこの事が知られぬ内に。 *************** sideシア 服を着替え風呂に入った。 それはいいんだけどね…… 「……兄様。」 外出から帰ってきたリゼルとばったり会った。 こんな時間にお出かけ? 珍しいね。 「リゼルはどこへ行ってたのかなぁ。」 僕がそう聞くと、リゼルはバツの悪そうな顔をする。 可愛い僕の弟は嘘をつくのが下手くそだ。 「海の匂いがするね。僕に内緒でシーラに会いに行くなんて、リゼルも隅におけないなぁ。」 頭を撫でるとリゼルは申し訳なさそうな顔をする。 「別に下心はない、シーラにいろいろと気を付けろと忠告しに行っただけだ。 怒らないでくれ。」 こんな年になっても僕に怒られることを気にしているなんてね。 「うん、怒らないよ。リゼルは可愛い僕の弟だからね。」 しっかり者だけど少し間抜けで憎めない。 「冗談はよしてくれ。兄様ももう寝ろ、明日は早くから会議だ。」 面倒だなぁ。 「じゃあ明日起こしに来て?」 「俺が起こすのか!?自分はいくつだと思っているんだ!」 お説教くらいそうだなぁ。 逃げよう。 「じゃあ、おやすみー。」 「兄様!!あぁ、もう全く…おやすみ。」 リゼルが起こしてくれるから朝までゆっくり寝よう。 そして、明日の夜はシーラに会いに行こう。 明日が楽しみだなぁ。
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