episode1

2/8
前へ
/3000ページ
次へ
sideシア 「それでね…………それ…で…ね…。」 「シーラ?」 眠ってしまった。 目の前でこんなにも無防備に眠るなんて。 世にも珍しい生きた人魚。 銀色の髪に緑色の瞳。 噂に聞く通り、かなり美しい。 年は17くらいかな?   シーラがボートからゆっくりと落ちて行く。 海の底へ沈むにつれ可愛い寝顔が見えなくなった。 「おやすみ、シーラ。」 一人になりたくてここへ来たんだっけ。 まさか、生きた人魚に会えるなんてね。 僕を見て恐れもしなければ媚もしない。 何なら僕が誰かも知らない。 シーラには知られたくないなぁ。 僕がこの辺りの支配者だなんて。 「はぁ…。」 名残惜しいけど帰ろうか。 ******************** sideシーラ 朝目が覚めたら、海の底で眠っていた。 水面に入ってくる光が眩しい。 「…シア。」 海面にボートはない。 私が眠ってしまったから帰ったんだ。 ものすごく損をした。 シアはまた来てくれるかな…? 早く来てくれるといいなぁ。 シアに会いたい。
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

241人が本棚に入れています
本棚に追加