241人が本棚に入れています
本棚に追加
sideシア
「それでね…………それ…で…ね…。」
「シーラ?」
眠ってしまった。
目の前でこんなにも無防備に眠るなんて。
世にも珍しい生きた人魚。
銀色の髪に緑色の瞳。
噂に聞く通り、かなり美しい。
年は17くらいかな?
シーラがボートからゆっくりと落ちて行く。
海の底へ沈むにつれ可愛い寝顔が見えなくなった。
「おやすみ、シーラ。」
一人になりたくてここへ来たんだっけ。
まさか、生きた人魚に会えるなんてね。
僕を見て恐れもしなければ媚もしない。
何なら僕が誰かも知らない。
シーラには知られたくないなぁ。
僕がこの辺りの支配者だなんて。
「はぁ…。」
名残惜しいけど帰ろうか。
********************
sideシーラ
朝目が覚めたら、海の底で眠っていた。
水面に入ってくる光が眩しい。
「…シア。」
海面にボートはない。
私が眠ってしまったから帰ったんだ。
ものすごく損をした。
シアはまた来てくれるかな…?
早く来てくれるといいなぁ。
シアに会いたい。
最初のコメントを投稿しよう!