初陣で、あるか

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 信長は出陣のを早くしたいのか、明日かと正秀に尋ねるが、またしても正秀の返答は期待とは違ったものであった。 「いえ、まずは領内に陣触れを出し、兵を動員します。今回の戦の規模では5日程かかるかと」 「それ程、時をおかねばならぬのか」  陣触れとは領内の将兵に出陣することを知らせ、将は自身の領地の規模に応じた兵を動員し、自身の主君の元へ馳せ参じるのだ。  戦の前に行われる事としては常識ではあるが、正秀の話を聞き、信長は将来的には兵の動員を手短に済ませ、早めの出陣ができる方法はないかと思案していたが、ひとまずは旧来の常識に従うこととした。 「では5日の間に武具、兵糧、馬の準備を急がせよ、できうる限り早くじゃ!」 「ははっ!」
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