10.君への想い

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それからも、何度かタオルで汗を拭ったり、保冷剤を取り替えたりする事を繰り返した。 二時間近くが過ぎ、熱を計ってみると、ここへ来た時よりも随分下がったようだった。 母親の携帯には、何度電話をしても繋がらなかった。 看護師で夜勤だと言っていたから、勤務に入っていれば携帯をチェックすることなどできないのだろう。 もう一度かけ直して繋がらなければ、生徒調査票で調べて勤務先の病院へ電話するしかない。 担任は、これから会議で他校へ行かねばならないと言うので、後は引き受けます、と言ってしまった。 7時半が過ぎ、教頭が保健室に現れた。 「親御さんにはまだ連絡取れないの? 困ったわねぇ~私も今から教頭会に行かなきゃならないんだけど」 いつもは、誰かしら遅くまで仕事をしているが、今日は方々で会合があり、もう職員室には誰も残っていないと言う。 「先程、保護者の勤務先の病院に連絡しました。 お母様とお話して、片瀬くんが起きたら、タクシー呼んで自宅に送り届ける事になりました。 熱がだいぶ引いたと伝えたら、小さい子どもじゃないんで、大丈夫だとお母様が仰るので」 「そうでしたか。じゃ悪いけどお願いしますね。戸締まり、あとここだけだから、よろしくね」 そう言って教頭は保健室を出て行った。
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