10.君への想い

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私は、タオルと保冷剤、体温計を用意して悠也の近くに座った。 悠也のワイシャツのボタンをもう一つ外し、腕を少し持ち上げて、体温計を入れる。 思いの外、筋肉のついた二の腕にドキリとする。 額や首元の汗をタオルで拭きながら、相手が目を閉じ意識がハッキリしてないのをいいことに、すっかり見入ってしまう。 男らしい形の眉、 長い睫毛、 口角の上がった唇、 顎のシャープなライン、 目の下と首筋のホクロ。 今までこんなにしっかり顔を見たことなかったな…… 遠くから見ることしかできなかった。 近くにいたらいたで、面と向かってまともに目を合わせることもできなかった。 自分の気持ちを悟られることは、絶対避けなければならなかったから……。 …こんなに見つめたりして…… …何をしてるんだ……私は。 悠也のことは諦めるって決めた筈なのに……。 私は立ち上がり、大きく溜息をついた。
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