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梅宇がそんなやり取りを思い出しながら他の動物の餌箱に餌を投げ入れていると、ふいにチャランという音が鳴り響く。文鳥の餌の一念に駆られ、店のシャッターを半明けにしたままだったことを思い出し、慌てて入口に向かうと見慣れた淡い金髪が見えた。背の高い男が半閉めのシャッターの下から店の入り口を押し上げ、店内を覗き込んでいる。
見知った奴であることに息をつく。
「御免ください、って何でつゆちゃんがいるの?」
「店長は出張で、帰りは1週間後だ。何か用か」
目の前の公理智樹は梅宇の幼なじみで25歳イケメンの美容師だ。3日に1度は一緒に飲んでいる。
「困ったな。昨晩徳田さんにモモンガ預けたんだよね。今日もバイトって聞いたけど」
徳田というのは事故にあったバイトだ。
「モモンガ飼ってんの?」
「預かってるんだよ。でも夜はここに預けてる」
「お前のマンション、ペット可だろ」
「そうなんだけどさ。俺、酔っ払ったら暴れるから」
「あー」
「それでどの子かわかるかな」
智樹は酒乱だ。なのに昔から飲まないと寝られない。暴れなくとも窓を開けたまま飲みつぶれて、逃がしてしまわないとも限らない。
店内を見渡すと、いくつかのケージにはモモンガが入っていたが、梅雨の目には全く見分けがつかなかった。個体差がない。
德田の連絡先を聞こうと仲井に電話をしても繋がらない。出先はパラグアイと聞いたから今は深夜だろうし、そもそも電波が繋がらないのかもしれない。
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