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「へぇ。やりがいがありそう」
「モニターの下にスイッチがならんでいるだろ?機械が故障したら、その機械を映しているモニターの横のランプが赤く光る。そのランプの光ったモニターと同じ番号のスイッチを押すのがキミの仕事だよ」
「押すとどうなるの?」
「修理ロボットがその機械へ向かうようになっているんだ」
「壊れた機械は自分で修理ロボットを呼んだりする事は出来ないのかい?」
「そんな事をされたらキミの仕事がなくなってしまうじゃないか」
「確かにそうだ」
「でも、君がスイッチを押さなければ最終的に機械が自分で呼ぶようになっているし、ランプも消えるよ」
「それなら精神的安全性も高そうだね」
「でしょ。光ったモニターの番号のボタンを押す。それ以外の時間は、機械を壊したりしなければ自由に過ごしていいよ。ベッドや食べ物を持ち込んでもいいし、友達を連れてきてもいい」
「悪くないね。因みに機械はどれくらいの頻度で故障するんだい?」
「確か、一時間に二回くらいって聞いているよ」
それを聞いた瞬間、篠崎は突然顔を険しくして大声を上げた。
「ブラック企業だっ!」
「ええ!?」
「一時間に二回も働かせるなんて、とんでもないブラックじゃないか!信じられない!」
猿渡は目に涙をためて、怯えながら言う。
「た、確かにそうかもしれないけど、怒鳴らないでくれよ。僕だって上からの指示でやっているんだ」
「とにかく僕は今日限りで辞めさせてもらうからね!辞表は帰った後、メールで送るから」
篠崎はプンプンと帰っていってしまった。
一人残された猿渡は、彼の去っていった方を見つめながらポツリと呟く。
「この仕事、向いてないかもしれない。僕も帰ったら辞表を書こう」
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