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翌朝
「んー。………あれ? 永理?」
翌日、日曜日の朝遅く目が覚めると、永理がいなかった。気配もない。
「おかーさん! お父さんは?!」
「朝イチで向こうに帰ったわよ。」
亜華の父母は別居婚だ。
父親はふだん、長崎に住んでいる。
「そうなんだ………」
永理がいなくなったことにがっかりしていると、母親が笑った。
「なによ、寂しいの?
なんだかんだでお父さんのこと、好きなのねえ。」
「─── お母さん。
私は実年齢だってもう二十歳近いし、いつまでも二人の子供ではいないよ。」
亜華は、はっきりそう言った。
だが、背が低く童顔では、説得力に欠けるらしい。
母親は「はいはい。」と、わかったような顔をした。
大っ嫌いだ、こんな家族。
亜華は母親をひと睨みして、2階に戻った。
昨日、父親とは一言も話していない。
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