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いつも置いてきぼり
その夜、亜華はうなされた。
幼い頃の夢だった。
お父さんが大好きだった。
なのに、お父さんはあまり家にいてくれなかった。
たまに来ても「じゃあ、またな。」
そう言って、どこかへ行ってしまう。
行ってしまったら、次いつ家に来るかも教えてくれなかった。
泣きながらあとを追っても、いつもお母さんに捕まえられた。
「いかないで!
いかないで!
おとーさん!!」
どんなに訴えても、お父さんは笑って手を振って、行ってしまう。
お母さんは言う。
「可愛いわねえ、亜華は。
お父さんが大好きなのね。」
なんで?
なんで笑ってるの!
泣いてるのに、なんで笑うの?!
─── おとーさんもおかーさんも、だいきらい!
感情が高ぶったせいか、目が覚めた。
亜華は布団で顔をぬぐい、そのまま布団で顔を押さえてつぶやいた。
「なにが理想的な別居婚よ。
なにが気ままがいい、よ。
サイテー。」
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