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さまざまな事情
永理が自分のことを話さないのには、たぶんわけがあるのだろう。亜華がうっかり人に話したらいけないような、そんな事情があるのだろう。
亜華はそう理解していた。
理解できないのは、両親のことだった。
最近、母親も父親も、年齢の話をよくする。
一人っ子で親戚付き合いもない亜華の気持ちも考えずに、俺たちももう先が長くないなとか、亜華の前で平気で言う。
どこのホームに入ろうかとか、家のことは亜華に任せようとか。本当に勝手だ。
「永理………。もう永理だけでいいよ。」
亜華の気持ちは、完全に両親から離れていた。
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