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おじいさんは、私の言葉に不思議そうに首をかしげた。
「……なぜ、そう思うの? 君に『嫉妬』がたくさん降り積もっていたのは事実だよ。こうして塊にできるくらい、たくさん」
「だって」
私が嫉妬されるはずがない。見下され、蔑まれることはあれど、羨ましいと思われるわけがない。
気持ち悪くて、なにもできない、こんな私が嫉妬されるなんて、そんなことありえない。
「私、なにもできないから。勉強も運動も、うまく友達をつくることもできないし、顔もかわいくないし、そんななにもできない私が、嫉妬されてるわけないです」
無駄に背高いのに、なにもできないよね。無駄じゃん、ただ邪魔なだけ。
今日、すれ違いざまにクラスメートに耳元でささやかれた言葉が蘇る。
みいちゃん、毎日よく頑張ってるね。すごいよ。
何も知らないお母さんが毎日のように言ってくれる言葉。
ごめんなさい、私、そんなすごい子じゃないの。お母さんの自慢の娘になれなくてごめんなさい。頑張らないといけないのに、頑張れなくてごめんなさい。
私の上に積もっていたのだという『嫉妬』の塊が現実を突き付けてくるような気がして、私は水とともに無理やりパスタを流し込んだ。
せっかく作ってもらったパスタなのに、と悲しくなったけれど、おじいさんは気にする様子もなくさっさと皿を下げて、断る隙も与えずに「次はスープね」と、いつの間にか作っていたらしいスープを差し出した。
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