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カリンも力なく言った。
それからしばらくして、隣からすやすやと寝息が聞こえてきた。
なんだかんだ、寝てるじゃねーか。
シックザールを抜けて、海を渡る旅。
疲れていたんだろう。
翌日、日の出とともに、ゴニカの町を出発した。
お昼前には、ゾクラナ帝国の首都ボザーダイアが見えてきた。
「なんだ?」
遠くからでもわかるように、あちこちから煙が昇っている。
「あきらかに、異常だな」
町に近づいていけばいくほど、獣が吠える声や人の悲鳴やなにかが壊れる音が響いてくる。
「いったいなにが起きてる?」
リフィーの首カゴからひょこっと顔を出しているカリンが、心配そうな顔を向けてきていた。
「キール、なんか黒いのがいっぱいいる。ほら、あそこ。あっちにも」
エレナが背後から指差してくる。
人の2倍、3倍はある四つ足の獣が町の路地を走り回っていた。
それらを捕まえようとする兵士は、黒い爪でやられてしまう。
「うぎゃーーー」
ひときわ大きな男の声が響いてきた。
「兄さん、人影が兵士を切っている」
「あぁ。間違いない、闇の騎士だ」
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