靴磨き

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それから小学校に入るまでには靴磨きは習得。 米粒2つほどの靴墨を全体に薄く延ばし、キレイに拭き取った。 時々チェックしたが、裾を汚すことはほとんどなかった。 靴磨きは毎週続いた、反抗期で一切口を利かない間も、 靴だけはピカピカにしてやった。 手入れに自信があったので父の日か誕生日に リーガルの靴をプレゼントしたような気がする。 靴磨きは父親に出ていけと言われるまで続いた。 会社帰りに毎晩呑んで午前様を繰り返していた自分は 実家から、追い出されてしまった。 毎週の靴磨きは22歳の時で終わった。 家を出て、たまに実家に帰った時、父親の靴を見る。 キレイにはされていたが、靴磨き歴20年の自分には及ばない。 1人暮らしを始めてからも、毎週自分のブーツを磨いていたから。 結局、実家に帰る度、靴を磨いた。 リーガル。何度か修理をして履いていた。 父親の定年後、磨く靴が無くなった。 そして去年、父親が亡くなった。 葬儀を執り行うにもブーツしか持っていない自分に、 母・綾子が出したのがあのリーガルだった。 左の親指の付け根部分に穴が開いていた。 葬儀が終わり、リーガルも最後の役目を果した。
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