幸せな確信

9/9
前へ
/156ページ
次へ
「それはおかしい。最後までしてないのに。じゃあ今続きをしたらお前は本当に死んじゃうっていうのか?そんなの、あまりに勿体ない。まだ本当に気持ち良いことの半分も知らないくせに」 本当に気持ち良いことを、知りたいような、知りたくないような。 僕は弓弦様の言うことがおかしくて涙を零しながら笑った、笑っているうちに涙が零れて視界が歪む。やっと休息の時がきたのだと思う。 疲れてもう眠い。でも、弓弦様とまだ喋っていたい。 また明日おはようと言って弓弦様は髪を撫でてくれる、別に今日限りのまやかしじゃないのに、それでもまだ僕はまぶしい光の中で目を瞑ったままだ。 目を開けたら全てが嘘でしたなんて、終わってしまうのが怖い。弓弦様は僕の頬に伝った涙を拭って、そのまま吐息のように言った。 「理人、これから毎日一緒に寝ようか」 「い、いいです……ドキドキして眠れなくなるから……!」 「お前なぁ、そこは弓弦様と寝ますって言えよ」 新しい風の中に身を委ねていたい、昨日までのことも綺麗に取り払われて、真珠みたいに光る朝に目を開く。 幸せすぎて泣きたいけれど、勿体ない。本当に。 だって、僕はこれから弓弦様と一緒なんだから。 それは、とても幸せな確信だなと思う。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

927人が本棚に入れています
本棚に追加