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「それはおかしい。最後までしてないのに。じゃあ今続きをしたらお前は本当に死んじゃうっていうのか?そんなの、あまりに勿体ない。まだ本当に気持ち良いことの半分も知らないくせに」
本当に気持ち良いことを、知りたいような、知りたくないような。
僕は弓弦様の言うことがおかしくて涙を零しながら笑った、笑っているうちに涙が零れて視界が歪む。やっと休息の時がきたのだと思う。
疲れてもう眠い。でも、弓弦様とまだ喋っていたい。
また明日おはようと言って弓弦様は髪を撫でてくれる、別に今日限りのまやかしじゃないのに、それでもまだ僕はまぶしい光の中で目を瞑ったままだ。
目を開けたら全てが嘘でしたなんて、終わってしまうのが怖い。弓弦様は僕の頬に伝った涙を拭って、そのまま吐息のように言った。
「理人、これから毎日一緒に寝ようか」
「い、いいです……ドキドキして眠れなくなるから……!」
「お前なぁ、そこは弓弦様と寝ますって言えよ」
新しい風の中に身を委ねていたい、昨日までのことも綺麗に取り払われて、真珠みたいに光る朝に目を開く。
幸せすぎて泣きたいけれど、勿体ない。本当に。
だって、僕はこれから弓弦様と一緒なんだから。
それは、とても幸せな確信だなと思う。
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