初恋の人との再会

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初恋の人との再会

「どうしよう」 雑踏の中で僕はただひとり、呟いた。 気が付けば日が落ちてきていて、ようやく駅構内から外に出られたと思ったらそこは大都会。目指していたものとは違う出口に出てしまったようで、慌てて案内板を確認した。 待ち合わせの場所はどこだろう、わからない。わかるのはたった一つ……後ろに何かがいるということ。人ならざるものが僕の後を付いてきている。 『そりゃあお前が連れてきたんだろう、理人(りひと)』 助けを求めてかけた電話口に、甘ったるい声が響く。電話の相手は久我弓弦(くがゆずる)、彼はからかうようにこんなことを言ってきた。 『お前だったら一人で祓えるだろう? どうしてやらないんだ』 「僕、東京に来たのも初めてだし東京の幽霊も初めてです。こ、こっちのオバケにも僕の学んだ呪禁は通用しますか?」 僕の言葉は電話越しに爆笑された。 『あやかしに東京も京都も違いがあるものか』 いいからさっさと早く来い。そう言われて電話を切られてしまったので、意を決して振り返った。 実家から持ってきた札は四つ。地水火風、それぞれの力が籠もった札をこさえてきたがこれだけ人がいると一目があり、使うのも憚られる。背後にいたのは女性の幽霊だった。カクカクと人間ならざる者の不均衡さで歩き、殆ど焼けた唇からは言葉にならない呻きが聞き取れる。 「ひゃっ……!」 やっぱり無理だ、僕はまだ人に近いものを祓ったことがない。妖怪たちよりもこっちの幽霊は得体が知れなかった。どんどん幽霊が近づいてくる。 何か言いたくて、それでも声を発する為の喉は大きく抉られている。泣きそうになりながら幽霊の女性を見つめると、今にも首の取れそうな女性の幽霊は顔を上げた先には大きな骸骨がいた。 「……っ!」 思わず息を呑む。ビルの屋上に優雅に寄り掛かっていたその骸骨(がいこつ)の腕がカラカラと音を立て動き、おいでとでも言うかのように指先をこちらに向けてきた。
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