926人が本棚に入れています
本棚に追加
イチに言われた言葉が衝撃的過ぎて、僕は瞬きをした。
「告白?」
「もしや、過去にしたことがあるとか。いえ、私の目から見てもお二人はとってもお似合いなのです!ねえ理人殿?」
「からかわないで下さい……もしかしたら弓弦様には既にお付き合いしている方がいるかも知れませんよ」
「絶対いませんって!若様はああしてフラフラしているように見えますが、大変身持ちが堅いので……」
「そ、そうかな……そういえば、どうして今日は事務所がお休みなんでしょう?これまで休みなことなんてなかったですよね?」
「依頼が来るのが少なすぎて常に休業しているようなものでしたからね……」
僕はぴんときてしまった。弓弦様はきっと今日、何か用事があるのだろう。だからわざわざ僕にお休みを言い渡してきたのだ。
「……イチ。弓弦様の匂いって、分かる?」
「ひゃっ? り、理人様いけませんっ!そのような悪いことを考えては――…」
「で、でも!弓弦様が休みの日に何をしているのか、誰といるのか気にならない?」
僕の発言はイチをとても困らせてしまったようだけど、僕は弓弦様のことが気になる。
だって弓弦様のことが好きだった、好きなら何をしてもいいのかというと決してそんなことはないと思う……でも僕は知りたかった。弓弦様のことをもっと知りたい。
「うう、若様申し訳ありませぬっ……イチは、イチはストーカー行為に加担しておりますっ……」
「い、イチ、ストーカーなんてこと……あっ」
イチはテレビが大好きなので色んな言葉を知っている。僕だっていけないことをしているのは分かっていた。でも、どうしても弓弦様の休日の姿を確かめたくて――…。
「あ、あの、イチ?こっちは歓楽街ですよ?」
「でも、こちらから若様の匂いがするんです」
最初のコメントを投稿しよう!