幸せな確信

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「今日は寒いからそうしましょう」 焦ってみてもやっぱり僕は子どもだった。 僕と同じ布団で眠るイチの温もりが愛おしかったし、遠くから耳に届く弓弦様の足音が気になっていた。ちょうど僕が微睡み始めた頃、布団の中から勢いよくイチが飛び出した。 「そうだ!」 「わぁっ!イチ、どうしたんですか?」 「寝る場所がなければ弓弦殿が同衾してくれるのでは⁈」 そう言ってイチは弓弦様の寝室までそろり、そろり、と歩いて行ってベッドを占領してしまった。 「イチ、お前がどうして俺のベッドで寝てるんだ?もう寝たいんだが」 「……ぐう、ぐう」 「全く、犬の癖に狸寝入りなんかしやがって。分かったよ、お前なりに頭を使ったんだろ? イチも変なところで賢くなったな」 「ほ、ほんとにイチは弓弦様のベッドで……?」 見ると本当にイチは贅沢に弓弦様のベッドを丸々一人で使って寝ている。弓弦様が僕のところまでやってきて、溜息を吐いた。 「負けたよ、今日はここで寝る」 「ちょ、ちょっと!」 式神であるイチがあの立派な弓弦様のベッドで寝て、僕ら人間がこんな狭苦しい布団に寝ているかと思うと少しおかしかった。 「うっ……狭いな、くそイチのやつ、チビのくせにでかい方のベッド陣取りやがって。もっとこっちへ来い」 「は、はい……」 ギュッと抱き締められる恰好になって、僕は目を真開いた。おそるおそる、その胸に顔を埋める。 僕は恋愛初心者丸出しだった。 ひたひたと窓を叩く雨音に耳を傾けていると、静かな弓弦様の息遣いが聞こえる。 時間が止まっているかのように思えた。弓弦様といると、時々そんな風に錯覚する。あの離れは僕にとっての幸福の象徴だ。心はいつもあそこに還っていく。遠くから雷鳴が聞こえた。 「驚いた、雷か」 「イチは大丈夫でしょうか……あの子、雷が苦手で」 「そのうち来るだろ、泣きべそかいて」
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