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僕の腹をゆるゆると撫でていたと思った弓弦様の手が、下腹部まで伸びてきた。無遠慮に性器を握り込まれ、引っ張り出される。
一体何をする気だろう……と思っている間に、僕の手にも弓弦様のモノが触れた。
「……ぁ、弓弦様のも硬くなってる……」
「俺だってお前としたかった。でも、物事の分別が付いてりゃ、お前に手を出すことの意味くらい分かる。俺はずっとお前に触りたかった。気持ち良いか?」
セックスしなくても互いの性器を擦り合っているだけで、十分悪いことをしている気分だった。
「んっ……その触り方……っ」
弓弦様の大きな手に包まれていると、精通した時のことを思い出す。そうだ、弓弦様に自慰の仕方を教わったんだった。今、弓弦様の手がゆっくりと僕の性器の先端を扱いている。次第に弓弦様が腰を押し付けてきて、二つの性器がぴたりと触れた。
こういうの、なんて言うんだろう。
互いに向かい合って、重なった性器を弄り合っている。
「お前のはちっちゃくて可愛いなぁ」
「ゆ、弓弦様、僕こわい……っ」
緩やかな気持ち良さが体の芯から駆け巡ってきて、僕はゾクゾクと身を震わせた。
ぐにゃぐにゃしたうねりのようなものは、僕を支配する。歪な重み。
生まれてからずっと久我に弄られ続けてきた身体に染み付いている、黒い染みのようなもの。
小さい時から、生まれる前からもずっと僕はそんなものを持ち続けてきた気がする。
「僕、死ぬなら今日がいい」
ふと昔、死ぬなら弓弦様の傍がいいって思っていたことを思い出した。
「いやいや、早すぎる。まだ何もしてない」
「もう久我に帰らなくていいんだなって、今になって実感できた気がするんです」
「俺といやらしいことをしたから?」
こくん、と頷くと弓弦様が笑った。
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