黄金の綿毛

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ある日の朝。 洗面所の鏡台に立つと、頭にタンポポの花が咲いていた。 「ばっ、ばあちゃん!咲いた!!」 息巻いて電話すると「すぐに宝くじを買いに行け!」と急かされ、俺はあわてて自転車で飛び出し、宝くじを購入した。 そして―― タンポポの花が咲いてから5日目のこと。 その日は宝くじの抽選日で、俺は部屋の中をウロウロと歩き回りながら、抽選会のテレビ中継がはじまるのを待っていた。 「お待たせしました。それでは1等の抽選です」 風車盤がまわり、7つの矢が同時に発射した。 「さあ! 1等の当選番号はーー」 「93組の153431番に決まりました!」 「93組……153……43……1…」 俺は宝くじを10枚、連番で買っていた。 「1等と前後賞が……当たっ…てる……」 「当選金額は前後賞合わせて『7億円』です」 テレビからファンファーレの音が流れ、俺の手から当選くじがするりと落ちたとき、タンポポの花も力尽きたようにしぼんだ――。 俺は恐ろしくなった。 頭皮をいたわっただけなのに…… これほどの大金が…… 黄金の綿毛。 それは「タンポポの花が咲くと巨万の富が舞いこむ」という驚くべきものだった。 いや……待て……。 俺はあわてて雑草図鑑をひらく。 ちょっと待て…… もしや、まさか、 まさか……!!
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