黄金の綿毛

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【タンポポ : 同じ場所で何度も花を咲かせます】 身震いがした。 ひざの震えが止まらない。 「これは……一度きりじゃないのか」 (お前はまもなく) (とんでもない大金持ちになる) ばあちゃんの予言。 それは、俺の予想をはるかに超えていた。 タンポポの花が咲くと、ではない。 、巨万の富を運んでくる。 黄金の綿毛。 お前にはそんな…… 夢のようなサイクルが……? 老後まで咲き続けるとして…… タンポポは、何度咲く――?  想像したら、一生安泰どころの話ではない。 極楽のバラ色人生……アメリカンドリーム! 金、金、金、金、金、金、金、金、金! 札束、札束、札束、札束、札束、札束! 億、億、億、億、億、億、億万長者!! 「よし。会社をやめよう」 俺は長年勤めたブラック企業とおさらばした。 銀行の口座残高を確認すると、目玉が飛び出るほどの金額が入金されていて「一生しこたま遊んで暮らそう」と決めた。 俺は勢いにのって高級外車を購入した。 次は銀座でブランド時計。 贅沢はとまらず、高級焼肉店で特上のカルビやロース、厚切りタン塩などを好きなだけ注文して、ビールを飽きるまで飲み干した。 「さて。次はモナコにでも行くか」 俺は旅立ち、青い海の見えるホテルでラグジュアリーなバカンスを楽しんだ。最上階のスイートルームでブロンドの美女たちをはべらせ、シャンパン片手に一万円札をベットの上から「それっ」とばらまいた。 「これが億万長者というものか! 俺はなんてツイているんだ!」
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