先輩との初めての日々

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「先輩!」 「……?」 「先輩!一緒に駅まで行ってもいいですか?」 「俺と?……まぁ、いいけど」 先を歩く先輩を走って追いかけた。 それが、初めて隣を歩いた日。 「好きです!付き合ってください!」 「……俺、連絡とか全然マメに出来ないけど」 「はいっ、大丈夫です!私が勝手に送りつけます!」 「いやそれはそれで……」 「他に断る理由ありますか!?」 「いや……無いっちゃ無い、けども」 「無いなら付き合ってください!」 「……はぁ、わかったよ」 抑えられなくて、溢れ出た想いを、半分無理矢理とは言え受け止めてくれた。 それが、初めて気持ちを伝えた日。 「先輩……?」 「今日寒い」 「……ふふっ、先輩可愛いですね」 「うるさい」 手袋越しに感じる、温かさ。 それが、初めて手を繋いだ日。 「……せんぱい」 「……黙って」 「……ん」 頰に添えられた手は熱くて。 触れた唇は、震えていた。 それが、初めてキスをした日。 出会った高校を先輩は先に卒業し、私はそれを追いかけて。 一年後、ストーカーのように同じ大学に入学して。 「お前……将来の夢とか無いの?」 「夢ですか?先輩のお嫁さんになることです」 「……はぁ」 「え!?何で溜め息!?」 「お前本当そういうとこ……はぁ」 「ねぇ何で!?せんぱーい!」 逆プロポーズは呆れたように溜め息を吐かれて。 でもその顔が、赤く染まっていたことを私は知っている。 「……待ち合わせって面倒だよな」 「えぇ?そうですか?」 「お前、料理できる?」 「一応出来ます」 「……じゃあ一緒に暮らせば待ち合わせも必要ないし一石二鳥か」 「……え?」 そんな言葉から、同棲が始まって。 「美味しい?」 「あぁ、美味い」 「良かった」 いつの間にか、敬語が無くなって。先輩呼びから名前呼びに変わって。 「そろそろ籍入れるか」 「……!」 「んだよ、なんだよその顔」 「だって……!そんなサラッと……!サプライズは!?夜景の見えるレストランは!?跪いてからの指輪パカッ、は!?」 「は!?夢見すぎだろ!俺にそんなロマンチックなプロポーズを求めんな!」 「そんなぁぁぁ!」 「泣くな!」 「憧れだったのにー!」 「あぁもう!結婚すんの!?しないの!?」 「しますー!」 そんな、グダグダなプロポーズだったけれど。
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