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「なぁなぁ、もうすぐ花火大会あるじゃん? お前らどうすんの?」
そんな話が出たのは、男女共学であるというのに男ばかりが五人、弁当や菓子パンを食べ終えて、思い思いの飲み物を手にくだらない話をしている昼休みのことだった。
近場の机を三台拝借し周りに集まった四人と継実は、進学してから知り合った。
いいや正確には一人、同じ中学出身の矢島という奴が混じっているが、中学時代には話したことはなかったので誤差の範囲と言えるだろう。
同じ中学の出身者はクラスにあと二人いるが、そのどちらともたいした関りを持った記憶はない。中学進学とともに都会から引っ越してきた継実は、そんなふうに中学時代を過ごしたということだ。
今ここに集まっている五人の馴れ初めは、出席番号順に決められた入学当初の席が近かったり、同じ部活動に所属した友達同士だったり……。そのせいかまだどこかお互いを手探りしている状態だ。
今もリーダー的存在の宇野の問い掛けに、もともと宇野と仲の良かった平井が、そりゃ行くでしょ! と声を上げている。
「だよなあ!」
宇野が平井の方を指さしながら場を盛り上げた。
「じゃーさぁ、みんなで行こう」
そう提案したのは矢島だ。
「それいいな!」
三人がすぐに意気投合する中で、継実はそっと目を伏せた。
夏祭りは、できればトラと行きたい。
相手が了承の返事をくれていない中で、それを口にしてもいいのかという迷いと、同意を求められたらどうしようと悩む継実の隣で、グループ内では一番気が合うと思っている西田有志が、はーい、オレ! と手を上げた。
皆の視線が有志に集まるのを感じ、継実もノロノロと視線を上げ歩調を合わす。
「オレ、彼女できましたので! 花火は彼女と行きまーす!」
その先で有志は満面の笑みでそう宣言した。
「えぇっ?!」
「なんだよソレ! 聞いてないよぉ!」
宇野と平井が机に突っ伏して唸る中、有志は、言ってなかったからねと笑っている。
「それに、継実も他に予定があるんじゃない?」
突然話を振られて、継実はぎこちなく有志の目を見つめた。
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