三六五回目の初雪

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 ガレージに戻ると、車から降りたアルカはスチールに呼びかけた。 「スチール、ロボットに変形」 「ラージャ」  スチールはタイヤをしまい、腕と足を引き出してロボットのような形態に変化した。 「そのカプセルをガレージに運んでくれ」 「ラージャ」  スチールはカプセルを持ち上げると、ガレージの入口へ向かった。 「スチールって、すごい便利だよね。あれを母さんが造ったの?」 「へへん、私は天才だからね。この廃品の山からなんでも造り出すことができるわ」 「でも……自分の体は治すことができないの?」  ミーシアは義手の左腕を見つめながら、ふっと笑った。 「機械は直せるけど、生身の体は専門外だからね。汚染には勝てなかった……父さんも」  さっそくミーシアはカプセルに近づき、計測器を装着して分析を始めると、義手に埋め込まれた画面に複雑な文字列がずらずらと表示された。 「パスコード入力で簡単に開きそうね……ええっと、エス、ティー、イー、イー、エル」  ミーシアがカプセルに設置されたキーボードでパスコードを入力すると、プシュウという音とともにカプセルの蓋が自動的に開いた。  もうもうと白い煙が立つ中を二人が覗きこむと、そこに白いワンピースを着た金髪少女の眠る姿があった。
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