02.サル・カ・モライ

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 オーパーツ――out of place artifacts――とは、あり得ない年代や場所で発見された出土品のことだ。場違いな人工物と訳される。夢と浪漫を掻き立てるオーパーツは水晶髑髏やアンティキティラ島の機械など、海外のものが有名だけど、聖徳太子の地球儀など日本にも幾つかある。ただし、その多くは後世の創作物だったり、科学的に別用途として解明されたりしている。 「それがね、フジケンって、意外とオーパーツとかトンデモネタ、大好きなのよ」  フジケンのことを楽しそうに話す伊桜さんを見て、僕の胸の奥がチクリと痛んだ。確かにフジケンはイケオジだ。部長達のマニアックな会話を耳が濾過していく。気づけば、終点・新青森駅到着のアナウンスが流れ、車内の乗客達は一斉に降りる準備をし始めた。僕達も荷物を棚から下し、降車の列に並んだ。
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