05.六本柱

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「わ、海の灯台でねぇがなって思う」 「海? あぁ、縄文海進か!」 「んだ」  縄文海進とは、約七千年前に現在よりも海水面が二、三メートル高くなり、陸地の奥深くまで海水が浸入した現象のことだ。確かに縄文海進を考えると、ここは当時の海岸線に近いだろう。出土した黒曜石やヒスイを考えても、産地から徒歩で運ぶのはむりがある。そうなると、河川や海洋を利用した水路を使うはずだ。大漁旗みたいなものを掲げて、海からの目印にしたり、豊漁を願ったりしたのかも知れない。  驚くべきは技術水準の高さだ。柱穴の間隔はきっかり四.二メートル、幅二メートル、深さ二メートルで完全に統一されている。つまり、アバウトに穴を掘ったのではなく、高度な測量技術を使って掘っていた。未発掘なだけでこの先にも更に柱跡があるかも知れない。
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