06.ソフトクリーム&クッキー

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06.ソフトクリーム&クッキー

 白銀の世界で冷凍されそうになったというのに、女子は冷たいスイーツに目がない。館内に戻り、レストランで『そふと栗夢』を食べている。文字から想像できるが、縄文人に愛された栗のソフトクリームだ。先程の六本柱も栗の木だったという。縄文時代にソフトクリームはないが、クッキーがあったことは出土物で証明されている。寒い冬には天然のシャーベットを縄文土器で作っていたかも知れない。焼き菓子と違って痕跡が残らなかっただけで。僕は幼い頃、牛乳瓶ごと庭で凍らせてシャーベットにしていた。甘くなくて美味しいとは言えなかったが、シャリシャリという触感とスプーンの手応えは今でもはっきりと思い出せる。僕は温かいものが欲しくて、紅茶をオーダーした。てっきり部長もホットコーヒーを頼むと思っていたら、縄文パフェを頼んでいた。意外に女子力が高いぞ。
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