07.アメリカ西海岸のマヨヒガ

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「和真君、上手いじゃん!」  高校時代にバンドを組もうとしたこともあった。そんな黒歴史を語ろうものなら、根掘り葉掘り、発掘されてしまうのは間違いない。でも、伊桜さんに褒められたのは、かなり嬉しい。 「菊池。古い洋楽に詳しいのか?」 「多分、同年代よりは」 「幻想的というか、幽玄さを感じるよな」 「哀愁は感じますけどね。これってドラッグの歌ですよね。誘惑と断ち切れない中毒。上手くいかない生活に将来の不安。希望が見えない迷宮のような恐怖って感じですよね」 「俺は、あのホテルはマヨヒガなんじゃないか、って思うんだ」 「マヨヒガ?」 「アメリカ西海岸のマヨヒガ」 「随分とヘビーでロックなつくりですね」
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