08.あるある

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 伊桜さんは温泉マニアだ。鹿が湯に浸かって傷を癒していたことから、鹿湯が訛って酸ヶ湯になったと教えてくれた。確かに津軽弁や東北弁の世界では『シ』が『ス』に変わるのはあるあるだ。お年寄りが言う寿司はスシではなく、ススになる。  ある田舎に嫁いだ人の話を思い出した。年老いた義父に「酢を買ってきてくれ」と頼まれ、お酢を買ってきた。処が義父は「俺は酢を買って来いって言ったんだじゃ!」と怒って買い物に出かけ、塩を抱えて帰ってきた。そう、『酢を』ではなく、『塩(すお)』だったのだ。
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