すべてが消える日

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降り始めた雪は、止むこともなく勢いを増していた。   雪日和、なんて言葉がこの世にあるかどうか知らないけれど、計画を実行するにはちょうどいい。  さようなら、伊月(いつき)。  山の中、ひっそり静かに一人で眠る彼を思うと泣き叫びたいような気持ちになったが、唇をかみしめ、全てを振り切るように足を速めた。  藍色に染まり始めた空かららひっきりなしに落ちてくる雪は、あたりを真っ白に埋め尽くし、降り積もり、すべてを消してくれるだろう。
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